さて、「水性の塗料でやってみよう」と、
依頼者様からお電話をいただいたときにプランをたてて、
下見に行かせていただくことにしました。
漆について難しい側面があること、
鏡面になっている塗膜を補修することが難しいこと、
正直に漆のうえに塗ることができる塗料を今までに使ったことがないことを
お話しして、目立たない場所で試しの直しをさせていただいて、
一週間ほど様子を見ることにしました。
熱や溶剤を使って補修すると必ず漆にダメージを与えますので、
水性のパテと、水性の塗料で一部を直してみました。
すると、思った通り適応がよくて、
パテの浸透性も水性塗料の食いつきとのりもよくて、
とてもスムーズに塗膜を形成しました。
そして、一週間後に確認しに行くと、
お施主様からも了解をもらって、作業が決まりました。
近年水性塗料はすごい発達をしていて、
自動車の塗装でも使われるようになってきています。
においが少なく、完全に硬化すると耐久性もありますので、
作業性として自然乾燥に時間がかかるという問題だけが残っていますが、
それでも、今回のような現場にはもってこいの塗料です。
今後はもっと使い道の多い塗料として、水性塗料が現場向きに改良されてくると思います。
今回残る課題は、うるしと知らずに対象物を見たときに、どうやって塗膜を見分けるか?
これはいまのところ予測をして、リスクの少ない方法で少しづつ直さないといけないということになります。
漆だとしても、溶剤系の塗料だとしても、水性は縁が切れる材料となりますので、
わからないときはとてもいい選択肢になります。