前回は簡単なパッチの部分をお見せしました。
今回はすこし技術的なところから、考え方のほうへ移ります。
さてこのオークサイドチェアーですが、生まれて初めて修復をした記念の椅子です。
依頼者はWEST DEAN COLLEGE、学校の通路に飾られている椅子でした。
どのような家具の修復にもポイントがあって、なぜお金をかけてまで修復することになったのか
持ち主の事情やその家具の状態をしっかりつかむことが肝心です。
修復の順番でいうと1番になります。じっくり観察するのです。なにかしら大きな不具合があるから
こそ、修復に出されるのです。その目玉とも言えるポイントをつかむのです。
この椅子の場合はオークの特徴でもありますが、長年の経年変化によってずいぶんと塗装が
はがれてうすくなり、木目と木目の間が磨り減っていました。その全体の印象を上げることがひとつと、
写真を見ると木目にそってカーブを描きながら割れているラインと、
その上に前回の修復で継がれているまっすぐなラインが見られます。
もうひとつは、座面の割れを直すことでした。
座面がパカっとふたつに割れたのはなぜでしょうか?
ただ単純にくっつけて、また時間がたつと割れないのでしょうか?
これらの椅子の構造上大切な特徴はペグを使って部材のジョイントを補強している、
ジョイントコンストラクションを維持することです。
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これらの疑問を解消しながら、かつ全体の印象があがるような修復を試みました。
次回へ続きます。