ちょっとスポーツ観戦と食欲の秋に興味が向いている間に、あっというまに1か月がたちました。
これまで、Neoclassicalの家具を中心に、有名な家具デザイナーのチッペンデールから始まって、フランスの影響を受けたり、与えたりしていることもあって、フランスの同時代の家具を少し見てきました。前回はOPENかCLOSEの違いでFautailとBergereがありますよ。というお話でした。
スタイルの歴史を簡単に言いますと、(これはMiller’s Antique Checklist furnitureという本を参考にしています。)
~1620年あたりまでをGothic(ゴシック)
1620年ごろ~1700年ごろBaroque(バロック)
1695年ころ~1760年ごろ Rococo(ロココ)
1755年ころ~1805年ごろNeo-classical(ネオクラシカル)
1799年ごろ~1815年ごろEmpire(エンパイアー)
1812年ごろ~1830年ごろ Regency(リージェンシー)
1830年ごろ~1880年ごろ Eclectic(エクレクティック)
1880年ごろ~1900年ごろ Arts&Crafts(アーツ アンド クラフツ)
1900年ごろ~1920年ごろ Art Nouveau(アートヌーボー)
という感じで、ヨーロッパの大まかなスタイルの変遷があります。各国で少しづつ呼び名が変わりますし、イギリスなどはほとんど違うのですが、大きな枠として覚えておくといいと思います。マサムネ工房ではイギリスの家具が中心になっていますので、一応イギリスのスタイルの呼び名も書いておきます。
1558~1603 Elizabethan(スタイル名) Elizabeth Ⅰ(君主名)
1603~1625 Jacobean James Ⅰ
1625~1649 Carolean Charles Ⅰ
1649~1660 Cromwellian Commonwealth
1660~1685 Restoration Charles Ⅱ
1685~1688 Restoration James Ⅱ
1688~1694 William & Mary William & Mary
1694~1702 William Ⅲ William Ⅲ
1702~1714 Queen Anne Anne
1714~1727 Early Georgian George Ⅰ
1727~1760 Early Georgian George Ⅱ
1760~1811 Late Georgian George Ⅲ
1812~1820 Regency George Ⅲ
1820~1830 Regency George Ⅳ
1830~1837 William Ⅳ William Ⅳ
1837~1901 Victorian Victoria
1901~1910 Edwardian Edward Ⅶ
となります。そして次回から見ていくのがRegency の時代の家具になります。
簡単に特徴を言っておくと、このあたりから19世紀に入りますので、まず時代の書き方として、よくEarly19thC と書かれたりします。19世紀初頭という感じですね。デザインのモチーフとしては、やはりネオクラッシックから受け継がれる古代ギリシャやエジプト、ローマなどに使われていたものを踏襲しています。リージェンシーの初期は曲線のアシンメトリックのもがあり、そこからシンメトリックでより直線的なデザインへと移行していきます。アンティーク家具の魅力14でおはなししたとおり、フランスでLOUIS XVからLOUIS XVIへの変遷で起こったこととよく似ています。そしてフランスではそこから時代の雰囲気を呼び込んで、もっと洗練されてDirectoireへ、そしてEmpireという家具のスタイルへと移行していきますが、その移り変わり方に影響を受けて、ロココからネオクラシックへと移り変わり、そして呼び名は違いますが、イギリスではリージェンシーへと移行していきました。ちょうどこの時にフランスではナポレオンが登場して帝国主義による植民地支配が世界中を席巻していきます。それに伴い、家具のデザインも、より珍しいもの、個性の強いものへとシフトしようとして、ゴシックやネオクラシック、シノワズリー、エキゾティック性の強いものなど、なんでも取り入れようとしていきます。しかし、僕個人としては、もう少しシンプルできれいな色合いの家具が好みですので、次回はサブレレッグチェアーを見ていきます。