リージェンシーファニチャーの椅子の特徴にサブレ・レッグという脚の形があります。
下に行くほど外に向かって広がっている形で、日本語で言う「末広がり」という感じですね。
このタイプの脚の他にはスクロールド(ロープのようなねじれを表す挽きもの)や
テイパード(先細りの形)、そしてフルーティド(内側に溝が掘られたような)、
意匠がおおく見られます。http://hakoya.masamune-workshop.com/detail03.html
ちょっと見づらいですが、HPのディテール集にのせてあります。 legs and feetのなかのlegs and feetの上から2段目
左から二つが代表的な脚の形です。
修復の基本で見た、19thC Mahogany music stool もサブレレッグです。
この時期の椅子のもう一つの特徴としては、椅子の座面が両サイドはサイドレールの内側でレールの内側にはまっています
が、正面はトップレイルの上に乗るか、トップっレールが一段下がったように見えています。
チッペンデールの時代の椅子ですと、すべての座面がレールの内側に入っていますので、正面から見たときの
レールの存在感が際だっています。よりスタイリッシュにデザインが洗練されています。
また脚と脚をつないで支えていたストレッチャーが見えなくなっていますので、脚周りもかなりスッキリした
印象に感じられます。
この時代の木材としては、とにかくマホガニーの美しさが際立っています。硬くきめの細かいマホガニーに丁寧に
ポリッシュされていますので、艶の光り方がとても美しく輝いています。英語では”warm golden colour”
と表現されています。
さて下の写真はトラファルガーチェアーと呼ばれる椅子の代表的な形のものです。
大きな形の源泉は古代ギリシャ時代のクリスモス チェアーから来ていて、前回お話ししたようにリージェンシーの時代も
古代ギリシャ、ローマからデザインのモチーフを継承しています。
ただ、この時代にはナポレオンの力が強くなり、フランスから攻撃されるのではというプレッシャーのある時代。
この時の提督、ネルソンがフランスをトラファルガーの海戦で破った時代のものであり、
そのことから海軍にゆかりのあるモチーフ、ロープや錨、イルカなどがたくさん使われていて、
このタイプの椅子はトラファルガーチェアーとかネルソンチェアーと呼ばれます。