マサムネ工房・REPAIR

アンティーク家具の魅力18 Sabre-leg chair 

リージェンシーファニチャーの椅子の特徴にサブレ・レッグという脚の形があります。

下に行くほど外に向かって広がっている形で、日本語で言う「末広がり」という感じですね。

このタイプの脚の他にはスクロールド(ロープのようなねじれを表す挽きもの)や

テイパード(先細りの形)、そしてフルーティド(内側に溝が掘られたような)、

意匠がおおく見られます。http://hakoya.masamune-workshop.com/detail03.html

ちょっと見づらいですが、HPのディテール集にのせてあります。 legs and feetのなかのlegs and feetの上から2段目

左から二つが代表的な脚の形です。

修復の基本で見た、19thC  Mahogany music stool もサブレレッグです。

この時期の椅子のもう一つの特徴としては、椅子の座面が両サイドはサイドレールの内側でレールの内側にはまっています

が、正面はトップレイルの上に乗るか、トップっレールが一段下がったように見えています。

チッペンデールの時代の椅子ですと、すべての座面がレールの内側に入っていますので、正面から見たときの

レールの存在感が際だっています。よりスタイリッシュにデザインが洗練されています。

また脚と脚をつないで支えていたストレッチャーが見えなくなっていますので、脚周りもかなりスッキリした

印象に感じられます。

この時代の木材としては、とにかくマホガニーの美しさが際立っています。硬くきめの細かいマホガニーに丁寧に

ポリッシュされていますので、艶の光り方がとても美しく輝いています。英語では”warm golden colour”

と表現されています。

さて下の写真はトラファルガーチェアーと呼ばれる椅子の代表的な形のものです。

大きな形の源泉は古代ギリシャ時代のクリスモス チェアーから来ていて、前回お話ししたようにリージェンシーの時代も

古代ギリシャ、ローマからデザインのモチーフを継承しています。

ただ、この時代にはナポレオンの力が強くなり、フランスから攻撃されるのではというプレッシャーのある時代。

この時の提督、ネルソンがフランスをトラファルガーの海戦で破った時代のものであり、

そのことから海軍にゆかりのあるモチーフ、ロープや錨、イルカなどがたくさん使われていて、

このタイプの椅子はトラファルガーチェアーとかネルソンチェアーと呼ばれます。