13世紀ぐらいから見られるようになる家具の原型ともいわれる「コファー」です。
構造的には大きな平面をパネル工法で作って、脚となる角材とパネルを手作りの釘で打って組み合わせています。
補強としては鉄製のフラットベースのようなものを使っているものもあります。
17世紀になって多く作られるようになると、以前お話しした、「ジョインド コンストラクション」で組み合わせられるようになり、
手作りの木製のピンでとめられています。
特徴としては、木材はOAKが使用されています。ほぼ、この時代のものはOAKといっても過言ではありません。
構造はさきほど書いたような手法です。
彫刻/カービングが装飾としては一番重要な意味を持ってきます。まずはカービングされているパネルが後付けでなく、
最初からこの部分にあったパネルに掘りこまれているものが大切な要素です。掘られているということが一つの特徴で、
上に飾りとして貼りつけてあったり、後年掘られたものが差し替えられていないかを確認することが、
一番大切な時代考証になってきます。
ペグを呼ばれる木製のピンが手作りで、不規則な形をしていることや、経年変化でできた汚れや色の差などは
コファーを見るときの大切な要素です。
このような色の変化はとても豊かなパティナを形成しています。使用されてきた箇所の色の深み、
ずっと太陽に当たらず隠れていた部分のもとの色。
パネルの裏面は当時カットの技術力を物語っています。
大きくできた切れるや段差はこの当時まっすぐにカットすることがいかに難しかったかという表れで、
平面を削るという作業もかなり手間暇のかかる作業だったと思われます。
この時代の家具にあらわれる当時の道具の面影をさがすことは、
この時代の家具を鑑賞する上でとても魅力的なシーンです。