Late 17th C Oak Joind Stool
17世紀の後半の代表的な構造はジョイントコンストラクションと前回お伝えしました。
スツールはその構造を使ってできた、椅子の原形と言えます。
もうすこし、わかりやすい写真で説明すると下のような写真になります。
材と材が組み合わさる部分がmortice and tennonと呼ばれる組み方になっていて、
日本の大工さんや家具職人もよく使う仕口の形ですね。
日本語ではほぞ穴とほぞと呼んで、ほぞ継ぎという仕口になります。
この仕口に上から木製のピンを作って差し込んでいるところが特徴的です。
この構造が面白いのは、レールといわれる部分で箱を作って、
その上に座面をのせると、作り方としては簡単です。脚はレールで作った
内側から下に出してやれば、ジョイントの複雑さも解消されます。
しかし、イギリス人のかたくなさでしょうか。
ジョイントコンストラクションを守るためにでしょうか、
脚のボックスの部分にレールが入ってきて、
ペグで止めるという基本を守り抜いた形になっています。
これについては、マイケルに聞いてみたいと思います。
これが、16世紀から17世紀の後半にかけての特徴となる構造です。
座面ですが、一枚板のオークがよく見られます。
またこの座面を固定する役割も手つくりのペッグです。
座面の上からレールに向かって打ち込まれています。
とにかく修復の際に気をつけることはいかにこのオリジナルの
ペッグたちを傷つけずに分解するかというところがポイントです。
これだけにたとえ数カ月かかろうとも、方法を熟考して取り組みました。
修復の過程はまた今度お見せします。
この時代にオークで作られているスツールが一般的で、
アンティーク家具の塗装といえばシェラックですが、
まだこのころのスツールにはあまり使われていません。
ですので、木質感がたっぷりのオークに蜜蝋などが
すりこまれた、ザラっとした感覚がこのスツールの良さだと思います。
ちなみにこのスツールにより座り心地を追及する形で椅子が発展していったという説もあります。
*マイケルはイギリス時代の恩師で、サザビーズに勤めていた時代の知識と経験を
生かして、アンティーク家具の修復や木工を教えています。
著書に、「HISTORY OF FURNITURE」があります。
今マイケルにいろいろなことを質問して、「Ask Michael」というコーナーの準備をしています。
http://www.huntleyconsultancy.com/