ここまできれいになることがアンティーク家具の魅力の一つだと思います。
この家具は数十年もの間、あるクライアントの倉庫で保管されていました。
保管といてっも、置いておいただけなので、カビが生え、埃だらけになり、
いろんなパーツがなくなったりしていました。
しかし、どのパーツも自然の素材からできていて、復元が可能でした。
白い部分はジェッソという石灰に近いものからできていて、表面にシェラックで塗膜ができています。
金色のところはギルディングといわれる、金箔貼りですし、躯体はパイン材です。
ベルベットを貼りなおして、全体を磨きあげました。約2年かけて作業を終えました。
ここまでの回復を想像できたでしょうか?
ここまで回復することを知っていたら、いくらボロボロのアンティーク家具を
オークションで見つけたとしても、ポテンシャルに惚れて買ってしまうのではないでしょうか。
仕上がりのレベルをお客様と共有することができれば、想像力をかきたてられて、
ボロボロの状態の家具を修復師とお客様とが見つめながらニヤニヤするでしょう。
修復することによって寿命が延びますし、この回復するまでのプロセスを楽しめます。
お客様からすると、どうやって修復するのだろうと知的好奇心をくすぐられますね。