Late 17th C Arm Chair (Late17th C Tall High Back Arm Chair)
ひじ掛けがあって、背もたれが高くて、彫刻と旋盤/ろくろの脚が特徴的です。
構造の基本的な特徴はJoinded Construction/ジョインドコンストラクションです。
接合部分にPeg/ペッグと呼ばれる木製の釘のようなもので、
接合されています。この椅子では、座面と脚の部分に丸いものが見えますね。
これが当時は手で作られているので、きれいな丸ですが、
少しいびつで、いかにも手で丸くしたなという感じがいいのです。
背もたれのてっぺんにCarving/彫刻が施されています。とても立派で特徴的です。
実際に見てみないとわかりませんが、この部分だけ、後付けされたりもしますので、
ジョイント部分はよく観察する必要があります。
17世紀も後半になるとイギリスではウォルナットが洗練された一部の家具に使われるようになります。
しかしこの時期の主流はオークです。
このタイプの椅子はイギリスか大陸のものか?という質問が良くされます。
家具の特徴からみて大陸のものであろうと予測されます。
理由は脚と貫の部分のつながり方にあります。
大陸のものはターニングで作られた貫が数珠みたいに見えるところが
(勝手に言ってます。数珠といってもよそでは通じません。)
ボックスと直接つながっているのが特徴です。
次に背もたれと座面の部分にCane(ケイン)といわれる。藤が使われるようになって、座り心地の改良がされるようになりました。ケインは専門の職人に頼みます。最初はすこしアイボリーの入った白に近いような色で
経年変化によって、飴色に変っていきます。
この時期にはすでに中国や日本の影響があらわれてきます。漆ですね。
また、中国の椅子はとてもスリムでデザインに無駄がなく、イギリスの椅子のデザインの一部にも
影響を与えました。ケインもオリエンタルと呼ばれるアジアからの影響です。
あとはVictorianという時代にこのタイプの椅子のリプロダクションがたくさん出ていますので、
これが17世紀後半のものであるのか、19世紀後半のものであるのかを見分ける必要がありますが、
これは、また後で説明したいと思います。
こんな感じで見ていきたいと思います。