18th Chippendale Chair
さて左右の写真ではどちらが本物のチッペンデールの椅子でしょう。
トーマスチッペンデールはイギリスの家具の歴史を変えたといっても過言ではない偉大なデザイナーです。 これまで家具は大工や家具専門の職人が頭の中にある図面を形に変えてきました。 このチッペンデールの登場で、分業性が進みます。
初めて自分のデザイン集を出版して、オーダーをとって椅子を作るということを始めました。
おもに、デザインは、ゴシック、ロココ、シノワズリー、ネオクラシックからなります。
特徴としてはマホガニーを使い、ピアーズといわれる背もたれの部分を彫刻でくりぬいた装飾、スタッフオーバーといわれる、座面の布張りが座面の枠の外側にでてきて、レールといわれる部分を覆い隠すようになっているタイプがよく見られます。 写真の左側のものです。
あとこの時代のこのタイプの椅子で必ず確認する部分はシューといわれる3番目の写真の部分です。 通常は4番目の写真のように、バックスプラットがシュ―のなかに入って座面のレールとのジョイント役をしています。
少し変わっているのは、シューのなかにバックスプラットが入り込んで、直接レールにジョイントされています。
このように部分の通常のパターンを把握しておき、あたらしい形が出たときに注目するのです。これも本物のチッペンデールチェアーに見られるシューの形の一つです。これがすべてではありませんが、特徴的な部分です。
これらの総合的な判断からすると、上の写真が1760年代に作られたチッペンデールチェアーで、下の写真はヴィクトリアンの時代に作られたリプロダクションです。
リプロとはいえ100年以上たっていますし、出来栄えも素晴らしいアンティークです。
はこや(AntiqueBox)のホームページにディテール集を作りました。そちらでも数点のチッペンデールの
背もたれの特徴が描かれています。