とてもかるくてエレガントな雰囲気を持つのが、バルーンバックチェアーです。
19世紀、1850年ごろから1890年にかけて、ヨーロッパ大陸からデザインが取り入れられて
流行したようです。食事などで使う椅子と違って、サロンなどローテーブルに対して使用されるタイプの椅子でした。
当時に作成されたものの特徴として、まず木材はウォールナットが主流で、少量ローズウッドが見らるようです。
前足のフレンチカブリオーレレッグにフレンチスクロールフィートが特徴的です。かなりかろやかな印象を与えています。
背もたれのバルーンバックや前足の部分に彫刻が施されていて、ただのシンプルすぎる椅子とも一線を画しています。
現代でもこのような曲げ木に彫刻を施して、上下でジョイントするというのは、かなりレベルの高い仕事という気がします。
コンストラクションとしては、円形状の背もたれは上下に二つに分かれるように作られていて、ジョイント部には継ぎ目とペグが見られます。
ただし、上下で同じ材料から作られていない場合も多く、木目がとおっていなかったり、色も若干違ったりします。
この当時にはちょうど大量生産がおこなわるようになってきていて、マホガニーで作られ、前足もストレートのタイプのものも多く見られます。
19世紀の家具は昔の流行のリバイバルと、あたらしいデザインの模倣されたものと、大量生産できるようにデザインを改良したものが
たくさん見られるようになってきて、その見分けが一段と難しくなってきます。
それでも、いつも言うように、100年以上たっても残っている家具ですので、当時の大量生産と言っても、
生き残ってきた価値というのがあります。