マサムネ工房・REPAIR

修復の基本6

    

クロスストレッチャーの割れは、構造的にみると再発する可能性があります。

写真で見てもらえばわかるように、脚の先端が外に開います。

どうしても、上からの負荷が外へ逃げようとしますので、

中に入っているクロスストレチャーの意味があまりありません。

それでも、内側に何もないよりは強度を確保できますので、

しっかりと直します。

実は、よく考えると、このクロスストレッチャーを外すことは不可能に近いのです。

内側に入れるときは少しの広がりが期待できるのですが、

外す時はクロスストレッチャーが長すぎて、穴から出ませんでした。

つまりこのスツールを作るときは、ストレッチャーを組み込みながら、

固定していったのでしょう。直すことは考えていませんし、負荷のかかりに対して、

工夫がなされていないことになります。

この根元部分は途中から折れていたので、外れました。

そして、折れた根元の部分は、作り直し、長さの微調整に2日かかりました。

脚の穴の内側に受けを作り、短めに作り直したクロスストレッチャーの根元を、

穴の内側にはめたときに、より強く固定できるようにするためです。

2枚目の写真はベルトクランプで締めあげています。

3枚目の写真のように、クランプを使うときは、必ず当て木をして保護します。

透明のアクリルなら、中の状態が見えますので、

接着のずれを防ぐことができます。

膠はアニマルグルーを使用して、一晩圧着をします。

今現在、世の中にはいろんな種類の接着剤がありますが、

圧着が必要か、必要ないかというポイントは

かなり接着剤の選択のポイントとして大切です。

品物や、現場状況に応じて、使い分けることをお勧めします。