さあ、ここからが、このスツールの本番。
らせん状にねじが切られていて、百年近くも使われてくると、このねじの隙間が大きくなって、
ゆるくなります。このかみ合わせを直す段階です。前回の基本7で支柱のほうはパッチをいれて、なめらかに廻るように
直したので、今回は「受け」のほうです。
受け側のあなに2液のエポキシパテをいれていきます。硬化時間は30分以上のゆっくり固まるタイプのものです。
そこへサランラップをまいた支柱をぐりぐりとねじをまきながらいれていきます。
そうすると、ちょうど隙間の部分にパテが入り込んで、余分のパテは上と下から出ていきます。
サランラップは非常に表面がつるつるしているので、硬化した後もパテの表面はなめらかです。
おまけにぱてにひっつくことなくきれいにはがれてくれます。
このように生活に使うものはなんでも修復に使うことができます。
上からももりもりパテがでてきます。
さて上の写真がパテが硬化した直後です。
この時には若干きつくなっているので、すこし研磨してねじの回転がスムーズになるように調節します。
砂状の研磨剤を溝に入れて、支柱をぐりぐりとまわします。何度もまわしていると、スムーズな回転が出てきました。
あとは仕上げに入ります。着色をして
ポリッシュをして、最後にワックスがけをして完成です。
知っていれば、なんともない作業ですけど、知らないとどうしていいのやらさっぱり解決方法が見つかりません。
あきらめるという選択方法をもあるのでしょうけど、「できないということを証明するのが難しいから、
できる方法を探すほうが早いよ。」と先生に言われたことを覚えています。
この時期は、とにかく授業についていくことで精いっぱいでした。
バイトどころか、放課後も毎日学校に残って練習しないと、まったく追いつかない状況でした。
それでも、楽しかったです。できないこと、わからないことも明確でしたので、
先生に聞けば、「自分で考えろ!」みたいなこともいわれず、この学期の目標を二人で設定して、
練習方法も、リサーチの仕方もすべて教えてくれるのです。
僕はもくもくと実践するだけですので、上達もはやかったように思います。
ですので、日本に帰ってきてから、日本流の人の育て方にはすこし疑問を持つようになりました。
職人で作業をできる人は、教え方を知らなくて、どうやって教えるかというカリキュラムを持っていないのではないかと・・・・・。