マサムネ工房・REPAIR

修復の基本10 Sofa 解体、クリーニング

アンティーク家具の魅力15で、Sofaと呼ばれる所以をお話ししましたので、

この家具がSofaとるポイントはつかんでいただいたと思います。

少し付け加えますと、イギリスではSettleからSetteeへと受け継がれて、

木製のベンチから長椅子へと発展します。そして、クッションの部分が多くなるとSofa、

木部が多くて、クッションが少なくなるとSetteeと呼ばれます。

ただし、一般の慣習ではSetteeがとおってますので、Setteeと呼ばれる方が多いようです。

今回はアンティーク家具ですので、クッションの面積がずいぶん多いですから、Sofaと呼びます。

また今度はRegencyについてアンティーク家具の魅力でお話しします。

さて、

あまりにも大きいSofaを目の前にして、さあ、なにをどこから手をつければいいのやら。

 

修復前の保存状況は最悪。 じめじめした湿気のおおき倉庫に数十年眠っていて、

そこいらじゅう虫食いはみられるし、木は腐ってるし、シルクからはカビ臭く異臭が漂うような状況でした。

シルクは張り替えることになっていたので、まずはすべてはがしていくことになりました。

一つ一つのピンを外して、丁寧にシルクをはがし、木枠の骨組みの身になりました。

このピンの穴はすべてシルクを止めるためのもの。無数のピンで止められています。

シルクの内側には綿と馬の毛でクッションを作っていました。正真正銘のアンティークのクッション。

 

今度はジョイントにお湯を流し込んで、古くなった膠を溶かしながら、解体していきます。

手この原理を応用して、自然にジョイントが抜けるようにゆっくり時間をかけて外していきます。

ここまで文章では数行ですが、実際に2週間かかっています。

お気づきのように、とにかく退屈です。

この地味な作業をじっくりと丁寧にやりきれる人は、修復に向いています。

ラジオを聴きながら一人楽しく作業をすることが好きな人は大丈夫です。

僕は苦痛でした。

それでも、なんとか解体まで持ち込んでここまでばらばらになりました。

そのご、驚くようなことが起こりました。

よくあることなのだそうですが、ジョイントが組まれているときは、

木材の動きは止まっていて、バランスが保たれているので、まっすぐですが、

ジョイントから解き放たれ、自由になると、木材が曲がりたかった方向へ向けて

一気にその力を解放させます。

さっきまでまっすぐだった木は、気づくと写真のように大きく曲がっていました。

ここで、また一つ作業が増えました。この曲がった木と向かい合わなければいけなくなりました。